目的論とは、人は何かしらの「目的」に沿って生きており、行動や感情は目的達成のために作り出されるという考え方です。
この記事では目的論についてまとめていきます。
トラウマは存在しない。原因論の否定
「目的論」の対極にある考え方は「原因論」です。アドラー心理学では、原因論やトラウマを明確に否定します。
原因論は、ユングやフロイトが提唱した考え方で、「行動や感情は過去の原因から生み出される」としています。
たとえば引きこもりの場合、トラウマなどの心の傷に原因があると考えます。不安があるので外に出ることができないとアプローチするのです。
いまの「目的」を考える目的論
アドラー心理学では、原因論の代わりに目的論を提唱しています。
目的論は、われわれは何らかの目的に沿って生きていると考えます。過去の「原因」ではなく、いまの「目的」を考えるのです。
引きこもりの例でいえば、外に出たくないから不安という感情を作り出していると考えます。外に出たくないという目的を肯定するために、過去のトラウマなどの不安な感情を持ち出しているのです。
どんな経験も、それ自体は成功の原因でも失敗の原因でもありません。自らが経験に意味づけを行い、目的にあった経験を見つけ出しているのです。
原因論は過去の原因に縛られてしまいますが、目的論は自ら意味づけをかえるだけで問題を解決することができます。
答えとは、誰かに教えてもらうものではなく、自らの手で導き出していくものです。大切なのは、何が与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかです。
そんな厳しいながらも、自分の人生は自分で選ぶことができるというのが目的論です。
ライフスタイルは選びなおすことが可能
アドラー心理学では、人は変わることができると考えています。
変わることの第一歩は知ることです。自分の性格や気質を知ることが重要です。性格や気質、思考や行動のことを「ライフスタイル」と言います。
いまのあなたのライフスタイルはどのようなものでしょうか?人によって異なりますが、一つだけ共通のことがあります。それは、ライフスタイルは自らが選んだものということです。
ライフスタイルは選ぶものです。そして、一度選んだものは、再び自分で選びなおすことができます。
もし、あなたが変われないでいるのであれば、「変わらない」と決心しているからです。いろいろ不満はあったとしても、「このまま」でいることのほうが楽であり安心だと思っているのです。
ライフスタイルを変えるとき、変わることで生まれる「不安」と、変わらないことで付きまとう「不満」のどちらかを選択することになります。変われない人は、不安よりも不満を感じているほうがマシと考え、「変わらない」という選択をしているのです。
もし、時間があったら。もし、お金があったら。もし、○○だったら。という人も「変わらない」という選択をしている人の特徴です。「もし、○○だったら」と可能性の中に生きることで変わらない自分を肯定しているのです。