妻の妊娠が発覚すると、夫は様々な場所で「立ち会い出産はするの?」と質問されることになります。
立ち会い出産はしてみたいけれど、本音を言えば血は見たくないし、妻を女性として見れなくなるという話もあるしどうしよう?などと悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
私も一人目のときは立ち会いをしませんでした。
二人目にして初めて立ち会い出産を経験し、「悩むなら立ち会い出産をしたほうがいい」と思うようになったので、その感想や体験したことをご紹介します。
立ち会い出産を終えた感想
先日、二人目にして初めて立ち会い出産を経験することができました。
立ち会い出産をすることで、
- 出産に伴う妻の痛みや大変さをリアルに感じることができました
- 誕生の瞬間の喜びを妻と共有することができました
- 妻への感謝や愛情が深まりました
- 赤ちゃんへの愛着がより強くなりました
女性は約10カ月という長い期間をお腹の赤ちゃんとともに過ごします。そのため徐々に母親になることができます。
一方、男性は実体験として赤ちゃんを感じる機会はあまり多くありません。そのため生まれた瞬間から父親にならなければいけません。
この差は大きく、その後の夫婦関係に大きく影響します。自分も娘のときはそれで色々と悩みました。
今回初めて立ち会い出産を経験することで、二人の子どもの父親になるのだなと、強く感じることができ、二人の子どもの父親になる準備ができたと思います。
実際の立ち会い出産はどのように進むのか
予定日を超過していたこともあり、陣痛誘発剤を使った出産となりました。
完全な自然分娩とは病院へ入るタイミングが多少違いますが、実際の流れや感じたことなどを思い出しながら書いていきます。
前日
陣痛誘発剤を利用する前日の午後から入院することになりました。
入院当日は、主に入院の説明やNSTなどの検査が主になります。
誘発剤を使うときは次のようなケースがあると説明を受けました。
- パターン1:母親が本来持つ陣痛を誘発し、そのまま出産
- パターン2:反応が薄い場合は午前で終了。翌日に別の薬を使い再チャレンジ
- パターン3:反応はあるが出産までいかないケースは継続して頑張る
必ずしも出産に至るわけではないということを初めて知り、ちょっとビビります。
出産当日 9時
妻は6時に起床し、8時30分くらいからLDRへ入るとのことだったので、準備が落ち着く9時くらいに病院へ着くようにしました。病室ではなく、LDRへ直接向かいます。
通常は陣痛室で待機し陣痛が強くなるとLDRへ移動しますが、誘発剤を使う場合は最初からLDRを使うようです。
部屋へ着くと、ちょうど誘発剤の点滴が始まったタイミングでした。
子宮口は、3cm開いているが、赤ちゃんは全然下がってきていないとのこと。
痛みはほとんどないが、すでに10分間隔くらいで定期的なハリを確認できるレベルになっており、誘発剤の効果はすごい!という驚きと期待が広がります。
9時30分
誘発剤による陣痛が10分を切るくらいになってきました。
助産師さんから次のような説明を受け、少しがっかりします。
- 今は誘発剤の影響による陣痛
- 本人の力による陣痛がないと出産には至らない
- 痛みが強くなっていけばよい傾向
今の陣痛は薬によるものなので喜ぶのはまだ早いということのようです。
定期的に妻の様子を確認しながら、誘発剤の投与量が増えていきます。
余裕がある状態なので、看護師さんがドSで点滴の針が通常のものよりも太いことをやたらとアピールしてきた、などの会話をしながら過ごします。
10時
開始一時間で少し異変が起きます。
妻曰く、お腹から「ポコッ」という音が聞こえたとのこと。確かに心音を聞くやつからゴソッて聞こえた気がします。
嫁が赤ちゃん下がった音かな?というけれど、ポコッと音を出して下がるものなのかな?
トイレに行きたくなったので部屋を出てトイレへ。用を済ませて戻ります。病室に入るときの合図を決めていたのでそれにならってノックをします。
「ポッポッポッ鳩ポッポー」
扉を開けると運悪く助産師さんが、、、
華麗にスルー
ついてない。
10時30分
あ、なんか出てる。破水かも。という妻。
看護師さんを呼んで処置をしてもらいます。その間は病室から出て待機です。
部屋の真ん前に椅子があるのですが、別の部屋の男性が座っておりその横に立つことに。
とても居心地が悪い。
待つなら自分の部屋の前で立ってて欲しい。
やはりついていない。
処置が終わった知らせを受けて部屋に戻ると、子宮口は依然として3cmで変化なし。下がっても来ていないようだ。
陣痛間隔短くなってきてるが子宮口はなかなか開かない感じ。事前に調べていた、陣痛間隔と子宮口の推移と違うので不安に。もう少し開いててもいいのでは?
もし羊水がなくなったら赤ちゃんは大丈夫なのかな?と素朴な疑問を抱きはじめさらに不安になります。
11時
ちょっとずつ痛みが強くなってきたみたいだが、まだ余裕がある状態。
痛みが強くなりつつも、この時間に気になるのはお昼ご飯。お昼のメニューが美味しそうだったので、食べることができるのかを気にし始める妻。
まだ、余裕である。
助産師さんに確認すると、ご飯はLDRに持ってきてくれるらしい。食べれるだけ食べてとのこと。
耐えることのできない痛みになる前に運ばれてくることを祈ろう。
11時30分
妻が、ノートに赤ペンで富士山と太陽を書き始めます。
陣痛時に富士山と太陽を書いた絵をプレゼントすると、された方が妊娠できるというジンクスがあるらしい。
最初に書いた富士山の傾斜が85度くらいのあったので、もう少し傾斜を緩やかにしたほうがいいのでは?とアドバイス。
そこそこ痛い模様。多分五分感覚くらい。
12時30分
病室にお昼ご飯到着。少し遅めのお昼へ。
陣痛の様子はというと、3分感覚くらいになっており、集中して痛みに耐えなければいけないレベルに。
美味しそうなので食べたい!といい、痛みがないタイミングを見計らって美味しそうに食べていく妻。
まだ多少、余裕である。
が、ちょうどご飯が口に入ったタイミングで陣痛がくるのは辛いようなので、お腹のはりを表す数字を見て陣痛タイミングのアドバイスを実施。
が、ご飯は残念ながら途中で終了。
そろそろ耐えられない痛みになってきた。
13時
痛みが強くなってきたので子宮口チェック。
7㎝までひらいているとのこと。間隔も3分切ってきた。
助産師さんからテニスボールをもらう。痛みが来るタイミングで、お尻に強く押し当てるというアレである。
当然予習済みなのでついに来たか!?と気合いが入ります。
が、実際どこを押していいのかポイントが全くわからない。。。力加減も謎すぎる。
そして、妻から 違う!そこじゃない! とありがたいお言葉をいただく。。。
すかさず助産師さんが自らの手を使って、一発でポイントを押さえた技を披露。
押す場所を教えてもらい、再度トライ。今度はいい感じらしい。
が、服の上から押していることもあり、やはり自力ではポイントが全くわからない。目印は服のへこみのみ。ボールを離してしまい、服のへこみがなくなったら絶対に場所がわからなくなる。。。
立ち会い出産とは、緊張の連続である。
しばらくすると、痛みが落ち着いてる時もグリグリして!と要望をもらったので、ポイント周辺をグリグリ押し回してみる。押す場所がわからなくならないように必死である。
今度は、痛みに合わせて押す力を加減してほしいと要望が。
痛みに合わせるといっても、痛さを共有できないので加減がわからない。弱すぎと強すぎであれば強すぎの方がよさそうなので、痛みとともに全力で押して、調整依頼に合わせて微調整を実施することに。
押す力が足りないと「なんで痛いのに押してくれないの?」と悲痛な叫び声が、、、
こんなに強く押して大丈夫か?と思うくらい本気で押して問題ないらしい。
足を踏ん張り、全力で押す。
右手は妻に握られていたので、左手を使って思いっきり押していく。持久戦になったらこちらがもたないほど定期的に押して休んでの繰り返し。
普段からもっと筋トレしとけば良かったと少し後悔した。
姿勢的に力が入りにくかったので、両手で押す体勢に変更する。額から汗が滴ってきた。。。
このころになると、助産師さんも参戦してくれており、足や腰のマッサージをしてくれて大助かり。ツボを押さえたマッサージは気持ちいいらしい。
助産師さん、本当にありがとう。
14時
強烈な痛みをテニスボールで軽減させる形でサポートする時間が続きます。。
子宮口チェックのために一度外へ退出。外に出ている間も強烈な陣痛の痛みが襲ってきていると思うと心配である。
外から耳を澄ましてみても、中の音は聞こえない。LDRとは結構な防音設備の部屋なのかもしれない。
部屋に戻ると子宮口全開ということで、いよいよ出産の体制に。
助産師さんも出てきた赤子を受け取れる姿勢でスタンバイ。
イキんじゃダメという今までのアドバイスとはうって変わって、「陣痛のタイミングでイキんでみよう。」と助産師さん。
こうなると、旦那はテニスボールでお尻を押すことはできないので、手を握って近くで励ますのみ。
さぁ、いよいよ勝負の時だ。
と、思うとなぜか若干涙が。
助産師さんの掛け声と同時にイキみ、脱力し、深呼吸して全身全霊をかけて立ち向かう妻。
陣痛が来ればお腹が痛く、赤ちゃんが出そうになれば下半身が痛いという男性では絶対経験できないであろう凄い状態に。
そんな中でも冷静に助産師さんのアドバイスを聞いている嫁さんはほんと凄いと思います。
しばらくすると、手を胸の前で組んで目を開いて力を入れて、というアドバイスに変化。
怖くて、赤ちゃんの状況は見ていなかったのでわかりませんが、頭が出てきているとか状況が変わっていたのだと思います。
その結果、力が分散してしまうのと、顔の毛細血管が切れてしまいシミが残るなどの影響があるようです。
激しく痛がりながらも頑張る妻。
目を開いて、旦那さんのほうを見て、とアドバイスする助産師さん。
嫁の目を見て、深呼吸とイキむタイミングのアドバイスをする僕。鼻から吸ってゆっくり口から吐き出す。
あまり言葉で言い過ぎると「もうわかってる」となりそうなので、音が聞こえるように呼吸法を実施。
アドバイスを忠実に守る嫁。
他にできることはないのか?と自問自答する僕。
目と目が合った瞬間、魔が差したかのように、ふと思う。
変顔してみる?
一瞬時がとまる、嫁と僕。
次の瞬間・・・
「もっと変な顔してー、もっと変な顔してよー」
頑張って精いっぱいの変顔をする僕。
こんなはずではなかった。
ちょっとした出来心が謎の状況を生み出してしまった。
繰り返すこと、3周期。
そして、少しの泣き声とともに誕生。
よく頑張った。感動した。女性はすごい。色んな気持ちが押し寄せてきました。
出産直後に出てきた言葉は
でした。
これがわかっただけでも立ち会い出産をして良かったです。
立ち会い出産を終えて
正直、何かできた。という感覚はないのだけれど、旦那にできることは
- 妻のそばにいる
- 手を握る
- いきみ逃しを手伝う
- 深呼吸を誘導する
- 励ます
- 今の状態を伝える
くらいかなと思います。
どれもうまくできたとは思えないですが、そこに居るだけでも力になれたみたいです。
事前準備でしたこと
事前に調べたことは2つです。
パパの役割
出産の流れ
どちらもテクニカル的ものではなく、メンタル的なものです。想定されることを知っておくだけで、うろたえずにすみます。
参考までに調べたことを簡単に箇条書きでまとめておきます。
パパの役割
パパの役割はママの出産のサポートです。
- ママの気持ちをリラックスさせる
- 身体のマッサージやいきみ逃しを行う
- 汗拭き・水分補給
- 呼吸法をリードする
- 出産後はママに気持ちを伝える
出産の流れ
前駆陣痛
- 準備運動として起こる
- 不規則な子宮収縮
- 直接出産にはつながらない
陣痛
- 前駆陣痛の後に起こる
- 規則的な子宮収縮
- 分娩開始の合図
第一期(開口期)
- 本陣痛が10分間隔になってから子宮口が全開大になるまで
- 子宮口の全開大は10㎝
- 初産婦で10~12時間
- 経産婦で4~6時間
第一期(開口期) 準備期
- 子宮口の開き:0~3㎝
- 陣痛間隔:8~10分おき
※規則的な陣痛が始まってから10分間隔になるまでの期間も含まれる - 1回あたりの陣痛継続時間:20~30秒
- 痛みはあるものの、まだ余裕がある時期
- 眠ったり食事をとったりして体力をつけておくのが大切
- 経産婦はこの段階で入院となることが多い
- 陣痛が強くならない場合や間隔が縮まらない場合は、
・階段をゆっくり上り下りする
・スクワットをする
・破水をしていない場合は入浴するといったことを試すと効果的
第一期(開口期) 進行期
- 子宮口の開き:4~7㎝
- 陣痛間隔:4~7分おき
- 陣痛時間:30~45秒
- 陣痛間隔が短くなるにつれて、痛みも強くなる
- 初産婦の人も入院してお産に臨む
- 陣痛が次から次へとやってきますが、呼吸法などで乗り切り、陣痛と陣痛の間はゆっくり休む
- 水分補給をして、こまめにトイレへ
- 四つん這いやあぐらなど、できるだけ楽な姿勢を探す
第一期(開口期) 極期
- 子宮口の開き:8~9㎝
- 陣痛間隔:2~3分おき
- 陣痛時間:45~60秒
- 痛みが非常に強く、力を入れていきみたくなるが、子宮口が全開大になるまで、いきみはNG
- 医師や助産師から許可がでるまでは、「いきみ逃し」をしながら乗り切る
いきみ逃しの方法
- 四つん這いになる
- 椅子に座る
- 歩き回る
- 肛門あたりを押す
- 腰をさする、腰や尾てい骨あたりを押す
- 星座やあぐらをしてかかとで肛門を押す
- ラマーズ法など良き見逃しの呼吸法に集中する
- 好きなことを考えて、いきみや痛みから意識をそらす
- 手を広げて力が入らないようにする
- 「痛みは怖くない」と自分を落ち着かせる
- お尻の筋肉をキュッとしめる
- 息をゆっくり吐きながら深呼吸する
第二期(娩出期)
- 子宮口が全開大になってから赤ちゃんを生み出すまで
- 子宮口の開き:10㎝
- 陣痛間隔:1~2分
- 陣痛時間:60~90秒
- 助産師の指示に従いながらいきみ始める
- 子宮口が全開大になったタイミングで破水も起こる
- 陣痛の波に合わせて何度もいきみ続けると、赤ちゃんの頭が見えたり隠れたりする「排臨」の状態になる
- 赤ちゃんの頭がひっこまずに膣から見えたままになる「発露」の段階へ進む
- 必要時に会陰切開が行われる
- このときにストップの合図があれば、いきむのを止め、力を抜いて「ハッハッハッハ」と短く呼吸する短息呼吸に切り替える
- 赤ちゃんの頭が出れば、多くの場合、スルリと出てくれる
第三期(後産期)
- 赤ちゃんが生まれてから胎盤などを全て排出し終えるまで
- 赤ちゃんが生まれた後は「後産陣痛」という軽い子宮収縮が起こって胎盤を体の外に押し出す
- 所要時間は初産婦さんで15~30分
- 経産婦で10~20分
- 長くても一時間程度
- 自然と胎盤が晩出されるのを待つ
- 胎盤が出たあと、会陰切開や裂けた部分があるときは縫合される
- 出産後は、後陣痛により支給が収縮して出血量が落ち着くまで分娩室で2時間ほど安静にして経過を見る
おすすめの持ち物
立ち会い出産の場であって良かったものをいくつか紹介します。
飲み物
嫁さんの水分補給は重要です。
最後のほうになると、大量に汗をかきます。力を振り絞る前に飲んだりします。
お気に入りの清涼飲料を用意しておきましょう。うちは水とレモン味のスポーツドリンク、柚が入った清涼飲料水を持ち込みました。
ストローつきキャップ
飲み物はベッドの上で横になって飲むことが多くなります。
当然ペットボトルそのままでは飲めません。ストローが必要です。
ポイントは、
- 蓋とストローが一体になっていること
- ストローが長いこと
の2つです。必ず用意しておきましょう。
うちで用意していたものはストローが短めのものだったので、寝転がった体勢では飲みにくさがありました。
テニスボール
言わずと知れたお尻を押すグッズです。これのおかげで夫の戦闘力が大幅にアップします。
固くて、大きくて、軽い優れものです。ゴルフボールは小さすぎて、野球のボールは重すぎると思います。
用意していきましたが、助産師さんから病院のものを渡されたので使いませんでした。
病院によって異なるので、自分でも持っていきましょう。
妻からの要望
持ち物とは違いますが、妻からの要望はあってよかったと思います。
事前の知識をもとに、良かれと思ってやったことが、その時の妻にとっては迷惑なことが多くありました。
それがつもり積もるとお互いストレスになります。
夫からすると、陣痛の痛みの強さや破水の状態、テニスボールの強さの妥当性などわからないことだらけ。妻からの要望だけが頼りです。
事前に夫婦の間で、遠慮なく要望をあげてもらうように話をしておくといいと思います。
立ち会い出産がうまくいく秘訣は、遠慮なく要望をあげられる関係性かもしれません。
まとめ
立ち会い出産を経験することができて本当に良かったと思います。
家族の絆が深まり、父親になる準備もできる立ち会い出産。
どうしようか悩んでいる男性は是非トライしてみてはいかがでしょうか?